国産のゾンビ映画というと、どうしてもチープでお色気路線と混ぜたようなモノになってしまう。
だってそもそも火葬文化だし!
しかし、今作「アイアムアヒーロー」はそんな常識を覆す出来でした!
あらすじ
主人公・鈴木英雄は、さえない35歳の漫画家。
デビュー作は連載開始後半年で早々に打ち切られ、借金も背負い、アシスタントをしながら再デビューを目指し、ネームを描いては持ち込む日々が3年を経たが、出版社には相手にされない悶々とした日常を過ごしている。
そんなある日、全国的に「噛み付き事件」が多発する。町に増えてゆく警官の数、さらには厚労相が入院して、その入院先で銃撃戦が起こるといった報道が立て続けに起こる。
英雄も深夜、タクシーに轢かれて両腕と右足が潰れ、首が真後ろに折れても運転手に噛み付き、奇声を発し立ち去る女性を目撃する。
やがて、周囲の人々がゾンビのような食人鬼と化す謎の奇病が蔓延し、「ZQN」と呼ばれる感染者たちが街に溢れる。
恋人や仕事仲間も犠牲となり、都内から逃亡した英雄は富士の樹海で女子高生・早狩比呂美、御殿場のアウトレットモールで看護師・藪(小田つぐみ)と出会い行動を共にする。
~Wikipediaより~
どんなタイプのゾンビなの?
今作のゾンビは正確にはZQN(ゾキュン)と呼ばれています。
噛まれる事で感染し、高熱を引き起こした後、血管が全身に浮き出ることでZQNへと変貌します。
ZQNになると運動能力が飛躍的に向上し、四つん這いの状態で非常に速く走るなど人体の構造を無視した行動を取るようにもなります。
所謂「走るタイプ」のゾンビです。
また、音にも敏感で大きな音に集まってくる習性があるほか、生前の行動パターンを好む習性があります。
通常のゾンビよりかなり顔が怖くなるのもZQNの特徴ですね!
豪華キャスト陣
今作国産ゾンビ映画にしては出演陣が非常に豪華なんです!
主演は北海道が生んだスター大泉洋、原作主人公に寄せてきていてかなりポイント高いです。
さらにWヒロインには有村架純・長澤まさみという贅沢っぷり。
ZQN役でなぜかメイプル超合金も出てます。
しかしそんな俳優陣の中でも気を吐いていたのが、原作でも印象的な悪役である伊浦を演じた吉沢悠です。
御殿場プレミアムアウトレットに作られていた非感染者コミュニティの頂点に君臨していた「帝王」の様な存在だったのですが、これがまたハマり役!
優しそうに見えて全く感情の読めないサイコパス感、原作から飛び出てきたような人選で
登場から退場までの演技は、主人公の次に大きなインパクトを与えました。
ガンアクション
原作のZQN出現~御殿場アウトレット脱出までを描くのが今作ですが、
主人公は殆ど強迫性障害で妄想癖持ちという非常にめんどくさい性格をしているため、映画終盤まで折角持っている銃を抜くことはありません。
原作漫画ではなんと8巻まで発砲しないという異例の展開なのです!
そんなもったいぶった末のガンアクションですから、メチャクチャかっこいいです
実銃での撮影のため、韓国ロケを敢行しているほどの気の入れよう。
空薬莢が散らばる死体の山で奮闘する「多対個」でアツくならない男性が居るでしょうか?
ヒーローになれないモブキャラがもし主人公であったら、という実験的な作品なのですが
英雄は間違いなくこのシーンが一番「ヒーロー」していました。
原作アイアムアヒーロー
ちなみに原作は2017年に完結済みで、結末は賛否両論でした。
一番の盛り上がりも実はこのアウトレット編で、
これ以降は風呂敷を広げるだけ広げてGANTZっぽい展開になったりする迷走っぷり。
映画版が非常に出来が良かったので、このキャストで2が見たいという気分にさせてくれるのですが、原作がそれについていかないので恐らく無理でしょうね…
総評
国産ゾンビ映画では屈指の出来栄えで、鬱屈とした原作の雰囲気とはかけ離れているものの娯楽映画としてまとまった映画。
現時点でアジア最高のゾンビ映画は「アイアムアヒーロー」か「新感染」の二択だと思っています。
ZQNの再現度、英雄の成長、井浦の存在感など見どころが非常に多く自信を持ってお勧めできますよ!
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