2007年スピリッツで短期集中連載した「邪眼は月輪に飛ぶ」
藤田和日郎作品のいい所がぎゅっと詰まった短編なんです!
あらすじ
むかしむかし……。
座礁した米空母が東京に持ち込んだフクロウ、“ミネルヴァ”。
その眼で見られたものは、たとえモニター越しであっても死ぬ。
死の街と化した東京に“ミネルヴァ”殲滅の命を受けた米軍特殊部隊が派遣される。
その中には老マタギ・杣口鵜平とその娘で巫女の、輪の姿があった。
鵜平はかつて“ミネルヴァ”を仕留めたただ一人の男であった……。
~Wikipediaより~
藤田和日郎節
藤田和日郎といえば「うしおととら」「からくりサーカス」など数々のとにかくアツい名作を世に生み出してきた漫画家です。
その彼が「からくりサーカス」終了後に初めて連載したのが本作、
漫画家人生で一番脂ののった時期の貴重な短編であると同時に、「うしおととら」「からくりサーカス」の集大成ともいうべきものとなっています。
- 主人公は鳴海も着けていたくちばしマスクを着けたじいさん
- 最初は嫌々なのにいつのまにか協力し合っている関係
- 犬が居ないという伏線
- 白面の者的な強大な力を持った敵
- なんとなく死に方も白面の者っぽい敵
- 魅力的なサブキャラクターたち
前作でかっこいいババア(ルシール)書いたから今度はジジイなのかな…とか
藤田作品フリークとしてはコレコレ!と思える要素がてんこ盛りなんです!
王道をゆく
もちろんお話としては非常に単純なもので、自然対人間をテーマとしている王道のパターンです。
凡百の漫画家が描けばただ陳腐化してしまうようなものですが、
藤田作品はその暑苦しい絵柄と伏線でゴリ押すことで名作にしてしまう魅力があります。
今作もそんな作品の一つ、終盤の畳みかけるような展開とセリフ回し、指で直接書いたような濃い絵柄は「漫画力」を感じさせます。
実際5回ぐらいの連載を予定していたのに原稿を書きすぎて2回追加しているという連載中の逸話も、本当に漫画を描くことが楽しいという気持ちが伝わってきますよね。
そしてなにより長期連載で読みたい!と思わせるラストも印象的です。
藤田和日郎先生
ただ一つだけ藤田作品フリークとして言わせていただきたい。
青年誌で連載を持つと必ずヒロインキャラの裸を書きたがるのはやめた方がいいと思いますよ!
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