チ。-地球の運動について- 前提知識を抑えて楽しく読もう!

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MANGA
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大賞に輝いた作品がほとんどアニメ化や実写化されているという漫画界の賞レース、マンガ大賞2021の2位に輝いた『チ。-地球の運動について-』

読んでみたらめちゃくちゃ面白かったのでレビューしつつ前提知識を補完してみました

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チ。-地球の運動について- どんな漫画なの?

天動説が当たり前だった15世紀、研究していることが二度バレれば火刑に処されるという禁忌の学説”地動説”を知識欲・権力欲・承認欲求…

様々な思惑がありながらも追い求める人物たちを描いた歴史スペクタクル漫画

それがビッグコミックスピリッツで連載されている『チ。-地球の運動について-』なのです!

なんか難しそうじゃね…?

トラブル PC

天動説?地動説?なんか難しそう…とかいうあなた!

大丈夫!難しい計算方法だとかは全く出てこないし、良く分からん専門用語は流してしまっても構いません。(ただwikiで調べてから見ると余計に楽しめます)

十分にチ。の世界に浸ることが出来ます!

そうした要素を抜かして読んだとしても楽しめる程の熱量がこの漫画にはあるからです!!

孤児や修道士、天文研究助手など出自も動機も様々ながら、”地動説”という唯一の真理にむかって研究を進める登場人物の葛藤。これがたまりません

だって研究してるのがバレただけで火あぶりの刑で殺されちゃうんですよ?

研究したとしてそれが評価されるかは未知数なんですよ?

研究中にお金が貰えるなんてことは絶対にないんですよ?

「なんでそんな危険なことしてるの?」という読者たちに登場人物たちは作中で明確な回答をくれます。

美しいから。

正しいと思うから。

自分を有名にしてくれると思うから。

託されたから。

自分の地位や名誉を、時には自分の命までもを捨てることになったとしても、単純明快な理由で強大な”天動説”に立ち向かってゆく登場人物たちは勇者にも見えるのです

地動説を巡る宗教的対立という一見難しそうなテーマなのですが、探求者とそれを阻む者という単純なニ構造にすることで非常に簡潔なストーリーに落とし込み難しく感じさせない工夫が施されています

基礎知識

いくら簡単に書かれているとはいえ、基礎知識がないと全くストーリーを追えなくなってしまいます

この漫画を読むにあたって覚えておいた方が良い単語は”天動説””地動説”の2つです

天動説とは?

1世紀~2世紀にかけて活躍したローマの学者プトレマイオスによって完成された学説

端的に言うと「地球は宇宙の中心にあって、太陽や月や星が、この地球の周りを回っているのだ」というもの

地球は神の作った特別なもので万物の中心であるという、キリスト教の考えを補強するような学説であったため1000年以上にわたって信じられてきた

地動説とは?

ポーランド出身の天文学者ニコラウス・コペルニクスが提唱し、アイザック・ニュートンの登場によって完成した学説

端的に言うと「宇宙の中心は太陽であり、地球はほかの惑星とともに太陽の周りを自分もグルグル回りながら回転している」というもの

地動説を唱えて宗教裁判にかけられ断罪されたガリレオ・ガリレイの「それでも地球は回っている」という言葉は宗教対科学を象徴するセリフである

ちなみにキリスト教のカトリック教会は2008年まで地動説を認めてこなかったという、近年までガチガチの天動説支持派だったりします。

近年ではガリレオの宗教裁判は宗教的理由だけではなく、政治的思惑などの複合的な理由で行われたことが分かってきており地動説論者はそこまで迫害されていなかったのではないか、という可能性があるらしいですが、『チ。』はあくまでそこらへんフィクションなので分けて考えましょう。

恐らくこの前提知識があれば今作を十分に楽しむことが出来るはずです!

あくまでフィクション

前述の通り『チ。』はフィクションです、冒頭から年代を15世紀前期と設定していますが国名や宗教名はイニシャルでぼかしています

一章の主人公ラファウは孤児となった前途洋々な学生、彼を引き取った義父のポトツキはラファウに神学を専攻させようとしていました

史実に照らしてみるとどうもラファウのモデルは地動説の祖コペルニクスなようです。

コペルニクスはポーランド出身(チ。の舞台もP王国)で両親を亡くし孤児となりました、コペルニクスを後見した叔父も彼を神学を学ばせて司祭になるよう望んでいたのです

コペルニクスはラファウのように誰かから地動説を託されたわけではありませんし年齢も亡くなった理由も違いますが、コペルニクスもラファウも死の直前に地動説を後世に残している点は共通しています

前述の通りガリレオの時代では地動説を唱えていても迫害されるという事は無かったようですし、ガリレオ裁判自体も近代の学者がかなり脚色しているようです。それと同じように『チ。』も天動説と地動説、宗教と科学のぶつかり合いを分かりやすく脚色した作品となっています

そのため全てをぼかして書いているのかもしれません

どこまで続く?

そんな今作は2021年10月現在で5巻まで発刊されており、比較的話に追いつきやすいのも嬉しい所

作中では何年・何人にもわたり真理・地動説が託されていく様子が描かれていくわけですが、一体どこまでをまでを描く予定なのでしょうか?

ガリレオ裁判までは確実に描くとして考えると、『チ。』の中ではまだ15世紀にも関わらずガリレオ裁判は17世紀前半。

もし万有引力の法則の発見までを描き地動説の完成までを描くのであれば17世紀後半。

どうやら我々はまだまだ長い時間『チ。-地球の運動について-』の世界に浸ることが出来るようですね

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