ブレア・ウィッチ・プロジェクトに代表されるフェイク・ドキュメンタリー(=モキュメンタリー)として展開される一本です!
あらすじ
超常現象や怪現象を専門とするテレビ番組を製作するチーム「グレイヴ・エンカウンターズ」。
今回は番組の第6話、彼らが撮影に訪れたのは廃墟と化したコリントウッド精神科病院跡、この場所で一夜を過ごす事となり撮影を始める。
番組を盛り上げるために入口に鍵を掛ける。撮影の最中、次々と怪現象に見舞われ恐怖に怯えた彼らは脱出を試みる、しかし、鍵を壊して入ってきた玄関を開けるとそこには外であるはずなのに廊下が続いている。
朝になれば迎えが来る予定となっていたが、誰も訪れないだけでなく日が昇らない。出口を探す中、彼らが目にするものは…?
ファウンド・フッテージ
今作はモキュメンタリーの中でもファウンド・フッテージというジャンルで作られています。
ファウンド・フッテージとは…
撮影者が行方不明などになったため、埋もれていた映像という設定のフィクション作品。
第三者によって発見された (found) 未編集の映像 (footage) なので、ファウンド・フッテージと呼ばれる。
以前ご紹介したノロイも同じ手法がとられています、川口弘探検隊シリーズなど様々なメディアでも使用されているんですね!
相手が悪すぎる
今作の舞台は1960年に閉鎖されたコリントウッド精神科病院跡が舞台。
現在は非倫理的として行われていない”ロボトミー手術”支持者であったフリードキン博士を患者6人が刺殺したとして曰く付きになった廃墟で、呪いの力が非常に強い。いや強すぎるんです。
特に朝が来なくなると不思議のダンジョン化のコンボは非常に強力、同じような怪異に巻き込まれても団結力のあるコワすぎ!クルーと比べて烏合の衆のグレイヴクルーはあっという間に精神を蝕まれています。
撮影クルーそれぞれのバックボーンなどは語られずにひたすら散り散りになっては死んでいくので、そこまでの悲壮感はありません。
ただ、ちょっと呪いの力が強すぎて現実との境を無くすモキュメンタリーの良さが消えてしまっているように感じました。
POV映画の弱点とアウトラスト
今作のようなPOV映画の難点として挙げられるのが、ライブ感を演出されるために多用される手振れ。合成映像が入れやすかったり安価な機材で撮影できるというメリットもあるのですが、どうしても酔う人が出てきてしまったり敬遠される要因の一つでもあります。
この問題を解決して見せたのが、精神病院とPOVという組み合わせで思い出される2010年代ホラーゲームの名作”アウトラスト”
FPSとPOV映画の要素を上手いこと融合させたゲームとしてファンの多い作品ですが、カメラを自分で操作できるというゲームでは当たり前の前提が手振れ酔いの問題を解決し、POV映画の弱点を払拭しつつモキュメンタリーの世界観に没入することを可能にしました。
イマイチ映画のジャンルとしてB級作品しか世に排出できていないのは、大多数が敬遠してニッチな需要しかないから。筆者はかなり好きなジャンルなのでもっと盛り上がってほしいものなんですが…。
VR技術とモキュメンタリーは相性よさそうなので期待して待ちましょう!
プロモーションの失敗
今作予告編が公開された際は”コワすぎる”として非常に話題を呼びました、最初の内はプロモーションに成功していたといえます。
しかし蓋を開けてみれば「ありきたり」だの「つまらない」だの、挙句の果てには「怖くない」という意見まで散見される散々ぶり。
なんでそんな逆転現象が起こってしまったのか?答えは簡単
何しろ作中一番の衝撃シーンを予告編で使ってしまっていたんですから!
映像作品、漫画作品でもなんでもそうですが作品の魅力となる”奥の手”は絶対に隠しておかねばなりません、本当に怖いシーンならば公開せずとも勝手にSNSで広がっていくご時世なんですから。
竜頭蛇尾、この言葉が似合う作品であると言えます。
総評
モキュメンタリーの良さが消えてるだとかプロモーションがどうこうだとか、色々言っては見ましたがツッコミを入れつつ見る分には非常に楽しい作品です。ナンバリングタイトルが出るほどには人気があったのがその証左でしょう。
やっぱり低予算で撮影できるのがPOV作品の大きなメリットの一つ、ある程度の興行収入でも黒字化できてしまうので竜頭蛇尾なプロモーションで話題性を集めるのも戦略の一つなのかもしれませんね。
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