オンリー・ザ・ブレイブ ところがどっこい…これが現実

スポンサーリンク
MOVIE
この記事は約8分で読めます。

2013年6月30日、アメリカはアリゾナ州ヤーネルヒルで起こった火災に立ち向かった20人のホットショット(=対山火事のスペシャリスト)を描く一本。

※作品に関するネタバレがあります※

スポンサーリンク

あらすじ

悶々とした日々を過ごしていたブレンダンは恋人の妊娠をきっかけに真面目に生きることを決意し、地元の森林消防団に入隊する。

ブレンダンは毎日地獄のような訓練を過ごしながらも、チームを率いるマーシュら仲間たちとの絆を深め、少しずつ成長していく。

そんなある日、山火事が発生。それは瞬く間に山を丸ごと飲み込むかのように拡大、ブレンダン達はさらなる延焼を食い止めるべく出動する。

〜Wikipediaより

消防根

青春スポーツ根性“ものというジャンルがあるのであれば、オンリー・ザ・ブレイブは“消防根性”もの。

山岳消防には階級のようなものがあり、消防界のネイビーシールズとも形容されるホットショット、そのホットショットを後衛から援護するタイプⅡの二種類が登場します。

主人公属するクルーセブンはタイプⅡ、実力者は近隣のホットショットへ引き抜かれ実力をつけられずにいました。

そこに主人公であるブレンダンが入隊します、当初ただのジャンキーであった彼はドーナツと揶揄されて馬鹿にされますが、決して折れず同僚のピンチを救うまでに成長、

それに呼応するように、街を上げてクルーセブンをタイプⅡからホットショットに押し上げようとする動きが始まるのです、まんまスポ根もののストーリー展開なんですよね!

バックボーン

クルーセブン(のちのグラニッド・マウンテン・ホットショット)には年齢も出自も様々な人物が入隊していました、

主人公は元ジャンキーだったり、ホットショットの傍らバンドマンでもある隊員、隊長は最前線で戦うホットショットになることに命をかける熱血漢でありました。

それぞれの人物に“人生”という強烈なバックボーンがあるため、物語への没入感が非常に強いのが実話ベース作品の強みであり、ラストシーンの悲壮感をより一層引き立てる要素となっているのです。


また、主人公がジャンキーから立派なホットショットに、そして父親へと成長していくことはもちろんのこと、主人公を取り巻く登場人物も成長していくのも魅力の一つ。

中でも隊長はハガー市長みてぇな見た目で正義感に溢れる人格者ではあるものの、全てをホットショットに掛けているため、家庭を顧みない人物でもありました。それが主人公に自分と似た部分を感じ、反発し合いながらも共に成長していきます。

その隊長が家庭と仕事の両立に悩んだ時にかけられた森林防災部のボスからの一言

自分に尋ねるしかない
何があれば生きられ
何がなければ死ねるのか

隊長の生き方と最期を決定づけた深い言葉だったのではないでしょうか

考察

火達磨のクマの意味

作中、隊長が自分が見た中で「1番美しく無残なもの」としたのがこの火達磨のクマ。そしてこのクマに何故か自分を重ねたのでした。

隊長は自分を何故火達磨のクマと重ねたのでしょうか?

隊の長として成熟した働きを見せ、タイプⅡからホットショットへと隊を活気付かせ、街のシンボルまで守ることができた。

その消防士として成熟した自分の姿

代償として家族との時間を削りながら、自分の命を削りながら職務に当たる姿

この二つの自分の姿が火達磨のクマと重なって見えたのかもしれません。

判断ミス?

グラニッド・マウンテン・ホットショット最期の任務となってしまったヤーネル・ヒル火災

隊長は焼け跡で待機することも出来ましたが、最前線までほど近い待避所に退避することを選択しました。

その結果隊長含めその場にいた隊員19人全員がテントの中で焼死してしまうことになります。

何故隊長はこの判断を下したのでしょうか?

事を急いたがための拙速な行動

監視役であるブレンダンを欠いたことによるストームセルの発見の遅れ

以上のような判断ミスの要素もあることでしょう。

何よりも一番の理由となったのは、隊長を降り夫として父親として生きることを選んだことであると思います。

グラニッド・マウンテン隊が待機を続けていても、いずれ炎は止まるかもしれません。

しかし、結果としてヤーネルという街を放棄することになります。そこには何千何万という家族が生活している街です。

もし自分が自分の大切な人と住む街が焼け野原になってしまったら、避難が遅れて犠牲になるようなことがあったとしたら…

そしてそれを未然に自分の手で止められる可能性があるとしたなら…

そんな考えがよぎったための判断だったのではないでしょうか?

総評

実際にあった事件をテーマにした作品特有のドラマの重さが段違いな今作、何って一人一人の人生がバックボーンとして存在しているんだから、そりゃ重厚になる。

エンディングで隊員の実際の写真を流す演出は、正直かなりズルい。そんなん誰でも感傷に浸っちゃうだろ!

遠い世界の話題として忘れ去られてしまうところを、映像化することで後世に伝えることができる。

映画って本当に良いものですよね。

コメント