アメリカはカリフォルニア州に実際に存在する巨大な幽霊屋敷・ウィンチェスターハウスを舞台にしたホラー映画、伏線映画の一つでもあります。
あらすじ
サラ・ウィンチェスターは夫が遺した広大な屋敷に暮らしていた。
彼女の夫、ウィリアム・ウィンチェスターは銃製造会社の社長であったため、その突然死は銃で殺された人間の怨霊が原因だと噂された。子供と夫を立て続けに亡くしたサラは悲しみの底にあったが、自分も怨霊に取り憑かれているのではないかという思いが日に日に強くなっていた。
ついに耐えきれなくなったサラは霊媒師に助言を仰いだ。サラはその助言通りにカリフォルニア州サンノゼに引っ越し、亡くなるまでの38年間を邸宅の建設に捧げることとなった。
傍から見れば狂気の沙汰であったが、サラにとっては怨霊から逃れるための必死の策であった。
1906年、精神科医のエリック・プライスはそんなサラの診察のために邸宅に赴くことになった。そこで彼は怪奇現象に遭遇し、サラが正気であることを確信するに至る。
ウィンチェスターハウスとは?
カリフォルニア州サンノゼに建設された巨大な屋敷。
40の寝室と2つの舞踏室を含む、およそ160の個室がある。
また、47個の暖炉と1万枚の窓ガラス、17の煙突、2つの地下室と3つのエレベーターも存在する4階建建造物。
当時は24時間365日業者が建設を進めていたとされるもので、要は金持ち未亡人の被害妄想から生まれた巨大なお屋敷なんです!
しかし、実際にポルターガイストをはじめとする心霊現象が多く報告されているガチの心霊スポットでもあります。
今作では精神科医プライスの視点から1906年のサンフランシスコ地震によって建物が被災するまでをフィクションを交え、サラ・ウィンチェスターが何故屋敷を建設するに至ったかを独自の解釈で描いています。
伏線
大筋の展開はわりと読めるものの、数個の伏線が仕掛けられた映画となっています。
霊障がすごい
呪われた洋館で思い出すのは『シャイニング』の意志を持ち人を喰らうオーバールック・ホテルを思い出しますが、ウィンチェスターハウスもそれに負けず劣らず凄まじい霊障を引き起こします。
人に憑依し人格を支配して自殺させようとしたり、人をぶっ飛ばすほどのポルターガイストが起こったり…
その際たるものがサンフランシスコ地震です、なんと演出上地震をもウィンチェスター銃によって殺された霊のせいで引き起こされた様な描かれ方をしているんです!
館内だけに効力を及ばす霊が大概ですが、大陸ごと霊障起こすとかやべ〜霊力ですよね。
逆勇次郎かよ。
世間の評価
批評家たちには酷評されてしまっている今作ですが、小道具がなんか安っぽいとかそんなチャチなことが理由ではなく、前述したシャイニングの影響が大きいのではないかと思います。
ジャンル的に洋館ホラーで客室に幽霊が出る、なんてのはまんまシャイニングと被るわけで
幽霊の登場のさせ方では不世出であるキューブリック監督の、不気味さと妖艶さを兼ね備えた不思議な演出に勝てる映画監督は早々存在しません。
何故か子役も赤毛なのでダニーと被ってますしね。
どうしても比較対象が偉大すぎるのです、洋館ホラーの宿命と言っていいかもしれません。
忖度
ちなみにウィンチェスター社(ウィンチェスター・リピーティングアームズ)は子会社への買収を経て社名は消失、後継のUSリピーティングアームズも2006年に経営破綻。
現在は銃の名前として残っているぐらいのものらしいのです。
本来であればこのウィンチェスターハウスも、強迫観念と被害妄想に駆られた未亡人の保身と狂気が生み出した負の産物としての側面が大きいのですが
作中では最後ウィンチェスターハウスの建設理由が割と美談ぽくなっているのが気になりました、やっぱり現在はない企業や人物でも、金持っていりゃ忖度されるんですかね?
ハァ〜ヤダヤダ
総評
複数の伏線が綺麗に回収される感じが非常に気持ちいい作品ですが、偉大な先人の作品に特徴を消し飛ばされてしまっているのが非常に惜しい。
ウィンチェスターハウスの建設理由を若干美談にしていたり、サラが執着していた13という数字にも意味を与えていたのは独自解釈で面白かった。
世間の評価の割には楽しめる一本であると思う。
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