各国で上映禁止になったというクエンティンタランティーノ原案のサイコパス映画!
実際に今作を見て犯罪行為に及んだカップルの模倣犯も多数出たという問題作です
あらすじ
片田舎の場末レストランに立ち寄ったミッキーとマロリーは、音楽に合わせて踊るマロリーに卑俗な言葉を浴びせる客との大乱闘と殺戮の上、
レジの金を掴むと、生かしておいた男性客に「ミッキーとマロリーがやったと言え」と告げる。
実は彼らは凄惨な生い立ちを抱えていた。
父親から性的虐待を受けて育ったマロリーは肉屋の配達のバイトをしていたミッキーと恋に落ち、
マロリーは両親を殺し、ミッキーとマロリーは逃避行に走るがそこから愛と殺戮の旅路が始まったのだった。
やがてミッキーとマロリーは時の英雄のごとくマスコミから注目される。
TV番組キャスターのウェイン・ゲールと所長ドワイト・マクラスキーが彼らを追う。
魅力的な俳優陣
ストーリーはあってないようなもの、とにかくミッキーとマロリーが出会う人出会う人を殺害していくという荒唐無稽な今作。
それを作品としてきちんと成立させている一因が俳優陣の下支えです。
主演陣はもちろんの事、特に気を吐いているのは大御所トミーリー・ジョーンズ
「MIB」のエージェントKのような落ち着いた演技しかしらない者からすると
ずっとツバ飛ばして喋るという噴飯もののくどーい演技を披露してくれています!
さらに脇を固めるスター記者役にはアイアンマンでトップスターとなったロバート・ダウニー・Jr、屈折した生い立ちをもつ警部役にはトム・サイズモアを配役!
登場人物全員アクが強くキャラ立ちしまくっています
うるさいくらいの演出過多
今作の魅力の一つに供給過多な演出の数々が挙げられます、
不意に挿入されるアニメーション、モノクロ映像、血濡れのミッキー …
まるで高熱出した時の悪夢を彷彿とさせますね。
ミッキーとマロリーが橋の上で簡易的な結婚式を挙げる場面では、
蛇の交尾を彷彿とさせるアニメーションが挿入されていたのが印象的でしたね。
特にミッキーがマジックマッシュルームでバッドトリップした時の歪んだ映像は
AIがディープラーニングで悪夢を作り出す「Nightmare Machine」で作成した画像を思い出す出来でした。
ナチュラルボーンキラーとは
今作で印象的なシーンといえば
「シリアルキラー」がなぜ人を殺して良心が痛まないのか、その答えがミッキーの口を通して明確に示されるインタビューの場面
「なぜ罪のない人間を撃ち殺すことができるのか」という問いに対して
「罪のない人間はいない」
と返すミッキー
これはキリスト教でいう”原罪”なのかはたまた道交法なんかの小さい罪のことをいうのかはわかりませんが、まぁ一理ある。
続けて言うのが
「狼はどうして狼として生まれたのか知らない」
殺しあうという事は自然の摂理であり、生きるために殺すことも自分の楽しみのために殺すこともその一部であると言うのです。まぁまだ分かる。
「おれは運命の使いだ」
わからん!!というか分かってたまるか!!
こういったシリアルキラーの言動を描写できるタランティーノは本当に凄いと思いますが
実際隠れて一人くらい殺してるんじゃ…?
そうしたリアルさがあるからこそ
「俺は根っからの人殺しなんだ(I am natural born killer. )」
というセリフが一層深みを増してくるんでしょうね。あまり主人公勢に魅力を感じない作品ではありましたが、この場面だけはかっこいいと思ってしまいました。
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