煽り運転の本場は日本ではなかった!?アメリカでは”ロードレイジ”と呼ばれる煽り運転をテーマとした一本
アカデミー賞俳優ラッセル・クロウ主演の理不尽系スリラー!
作品名(評価):アオラレ(B-)
制作(公開年):アメリカ(2020)
監督:デリック・ボルテ
主演:ラッセル・クロウ他
あらすじ
ルイジアナ州ニューオーリンズ。
レイチェルは15歳になる息子(カイル)と一緒に暮らしていた。
そんなある日、車でカイルを学校に送り届けた帰り道、レイチェルは前を走っていた車が青信号になっても動き出さないという事態に遭遇した。レイチェルはクラクションで信号が変ったことを伝えようとしたが、それでも車は動かなかったため、やむなく追い越すことにした。
ところが、前の車の運転手は追い越しに逆ギレし、真摯な謝罪を求めてレイチェルを追いかけてきた。運転手の行動は徐々にエスカレートしていき、レイチェルは想像を絶する恐怖を味わうことになった。
Wikipediaより
ロードレイジ
記憶に新しい常磐自動車道のあおり運転殴打事件(ガラケー女のやつ)によって注目を浴びるようになった煽り運転
ドライブレコーダーの設置が増え2020年6月には道路交通法が改正され、新たに”妨害運転罪”なんていうものも創設された
煽り運転が社会問題となっているのはなにも日本だけではありません、アメリカでは運転中に他人の運転に対し激昂することで行われる暴行、というロードレイジが同じく社会問題となっている。
銃社会であるアメリカは日本のように殴る蹴るの暴行だけでは済まず、時には子供が巻き込まれて死亡する事件まで起こっているのだ。
現代ナイズされた激突!
車で主人公を執拗に追っかけて絶望の淵へ叩き込む作品といえば、スティーブン・スピルバーグ監督の初期の名作『激突!』が想起される
激突!はセールスマンが殺人鬼が乗ったトレーラーに追い回されるというあらすじの作品で、殺人鬼は基本的にトレーラーから降りてこないどころか最後まで顔も分からない
それゆえに殺人鬼への想像が膨らむ一本なのだが、主人公VS殺人鬼という構図は今見るといささかシンプル過ぎる。
その点今作はラッセル・クロウ演じる男は麻薬常習者の元妻殺し、主人公も離婚協議中のシングルマザーとかなりキャラクターが練られているし登場人物も多い(すぐ死んじゃうけど)
また激突!のように一直線に主人公に向かってくるのではなく、男は主人公の周囲の人間を歯牙にかけ外堀を埋めていくというネチっこ~い攻撃をしかけてくる。これがもう理不尽で取り返しがつかなくって最高なのだ!
主人公VS殺人鬼という超シンプルな内容に、社会問題と人間のいや~な部分を詰め込んだアオラレは現代ナイズされた激突!と言えるのではないだろうか?
ラッセル・クロウ
今作はロードレイジにスポットを当てた一本で、ロードレイジを通して社会問題の本質に切り込むような社会派な作品…ではなく
理不尽な怒りを身にまとったラッセル・クロウの暴れっぷりを楽しむエンタメ作品だ
『ビューティフル・マインド』の時の優男ぶりはどこへやら、いつの間にかハンプティダンプティみてーな体型になっちゃったラッセル・クロウの狂った演技派一見の価値あり!
車という個室の中で気持ちが大きくなっていたり、用事に遅れていたりして気が急いている時に前の車両が遅いと煽りたくなってしまう気持ちも、まぁ分からんでもない。
しかし!日本だって一億二千万人いるんだから、ラッセル・クロウみたいなヤバいやつも運転している可能性は無いとは言い切れない、煽るのはやめよう。
車が頑丈なんであって、あなたは脆い人間なんだから。
総評
全世界で社会現象化している煽り運転をテーマに、人間の愚かさと醜さを描いた一本。
臭そうで怖そうなラッセル・クロウの演技派さすがの一言、この映画を見ればちょっとは煽り運転が減るんじゃないかなぁってくらいネチっこく後味の悪い攻撃は最早エンターテイメント
ただ物語終盤はただの殺人鬼VS母親という構図になって凡百なスリラーになってしまったのは残念、決着は車を使って決めてほしかった、というのは激突!の見過ぎなのだろうか
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