前作 IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 のラスト「CHAPTER 2」の文字に興奮してから早2年。
2時間50分という大作を鑑賞してきましたのでレビューします!
あらすじ
舞台は前作から27年後の2016年のデリー。
「IT:ペニーワイズ」を命からがら撃退したルーザーズクラブの7人は
青年を飛び越え中年に、年を取るにつれいつしかお互いに疎遠になってしまっていた。
そんな中デリーで再びペニー・ワイズの仕業とみられる猟奇殺人事件や失踪事件が頻発するようになる、
仲間の中で一人デニーに残っていたマイクは、ペニーワイズ打倒のため再びルーザーズを招集する、果たして7人は今度こそソレを倒すことができるのか―?
おすすめな人/おすすめじゃない人
完璧に続き物のため前作を鑑賞していることが前提の作品です、
今作がシリーズ初視聴の方にはお勧めしません。
また上映時間は2時間50分ととても長いですし、ピエロの他にも割といろいろな異形の化け物が出てきます、初デートでの視聴はお勧めしません。
大概勢いでおどかしてくる演出が多分に含まれています、耐性がある以外にはお勧めしません。
前作視聴済みでピエロ恐怖症でなく、スプラッタなシーンでもニヤニヤできる方にはお勧めですよ!
”大人”でしか描けないモノ
ホラー作品という概念にとらわれずジュブナイル作品としてもレベルが高かった前作。
今作は中年になった主人公たちがメインなので、そうした青春群像劇という作品形式がもうとれない、
原作はついているものの、ある意味縛りプレイを余儀なくされました。
しかし、少年少女時代でしかできない物語も中年時代でしかできない物語もまたあるのです。
今作はそこをうまく落とし込んでいたように思います。
薄れゆく記憶
人はどうしても古い記憶を知らず知らずに忘れていくもの。
劇中ルーザーズの面々もデリーから離れれば離れたところで生活しているほど
「IT」に関する記憶が薄れてしまっているという設定は
「忘れる」という人間の脳の構造を上手いことペニーワイズの権威付けに利用しています。
改めて対峙するトラウマ
前作「IT」で一旦は各々抱える問題とトラウマを体現したペニーワイズを打倒したかに見えました。
しかし、トラウマってそんなに簡単に克服出来たらトラウマじゃないんですよね、
さらに大人になってから植え付けられた新たなトラウマやしがらみも増えてきます。
今作は少年・少女時代の思い出の品をそれぞれ探して持ってくるというミッションが課されるのですが、
このミッションが大体そのトラウマ克服のための布石となっており、前作よりもエグさマシマシ。
しかしこれがあるからこそラストシーンでカタルシスを感じることが出来ます。
理解の及ばないモノへの恐怖
前作では全員10代前半であった主人公たち、中年へと成長し
所帯をもったり、事業で成功したり、
自分の行動が生活へ結びつく機会が増え、自分の人生が自分だけでは回っていかない現実に気づく年齢です。
大人になると何故かセミが怖くて触れなくなるのと同じように
何を考えているのか分からない自分の理解の範疇外の「IT」に対する恐怖心がより増している描写があります。
最序盤、ルーザーズの一人が「IT」に対峙する恐怖から自ら死を選ぶシーンは
まさに大人になった者にしか分からない心情です。
SF要素
原作を書いたS.キング、今作では骨とう品やの店主としてちゃっかり出演しています。
このS.キングの作品、筆者は「ダーク・タワー」しか読んだことがないのですが、設定がかなり難解なのです。
ご多分に漏れず今作も途中から「IT」が実は地球外から飛来したのではないかと示唆するシーンがあったり。
地球外生命体かもしれないのにペニーワイズの娘なる老婆も出てきたり、
ノーメイク・ペニーワイズも出てきたり人として生活をしていた描写が出てきます。
結局「ペニー・ワイズ」ってなんなのか?正直難解すぎて分かりませんでした。
他にも見ると”浮かんで”しまう「死の光」やIT撃退の秘策「チュードの儀式」など
唐突に出てくる用語が多いわりに割と設定はガバってたりしてちょっと不満でした。
特に「チュードの儀式」はほとんどDBの「魔封波」です。
近年の作品でああいう魔物を封じ込める壺的なアイテムを使って敵を倒せたことは恐らくないと思いますね。
今作もそのセオリーに倣って儀式は失敗し、主人公は窮地に追い込まれます。
ちなみにこの封じ込めのパターン、古くはギリシア神話のヘラクレスまで遡ります
ヒドラという9つの頭を持つ不死の蛇を封印するため地面に埋めて重石を置いたそうです。
何か普通に出てこれそうですよね。
ペニー・ワイズ撃退方法
前述の「チュードの儀式」が失敗した後、巨大化したペニーワイズを何とかして小さくしよう!
という時にとった行動が結局「口撃」であったのは少し残念でした。
少年少女がトラウマを克服し、
絶対的な実力差のあるペニーワイズに対し「怖くないぞ」というからこそアツかったのであって
大人がこぞってピエロに罵声を浴びせているのは少しシュールで、それで弱っていくピエロも何だか滑稽でした。
最終的に赤ん坊の様に小さくなってしまうのですが、ちょっと可愛く描きすぎだったような感じがします、もっと惨たらしい最期の方がよかったような。
総評
色々思う所はありましたが、純粋にゾッとするようなシーンは前作より多めでエグさも増していて満足できました。
今後チャプター1とチャプター2をくっつけ
新作映像を加えた6時間超の作品を作る構想があるらしいので、
そちらも楽しみにしたいと思います!
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