映画大好きポンポさん 陰キャにオススメ激アツサクセスストーリー

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MOVIE
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敏腕プロデューサー・ポンポさんを中心とした映画監督のサクセスストーリーを描く。SIROBAKO、ジャイアントキリングのようにプレーヤーではなく裏方にフォーカスを当てた一本だ

作品名(評価):映画大好きポンポさん(A-)

制作(公開年):日本(2021)

監督:平尾隆之

主演:清水尋也/小原好美、他

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あらすじ

敏腕映画プロデューサー・ポンポさんのもとで製作アシスタントをしているジーン。映画に心を奪われた彼は、観た映画をすべて記憶している映画通だ。

映画を撮ることにも憧れていたが、自分には無理だと卑屈になる毎日。だが、ポンポさんに15秒CMの制作を任され、映画づくりに没頭する楽しさを知るのだった。

ある日、ジーンはポンポさんから次に制作する映画『MEISTER』の脚本を渡される。伝説の俳優の復帰作にして、頭がしびれるほど興奮する内容。大ヒットを確信するが……

なんと、監督に指名されたのはCMが評価されたジーンだった! ポンポさんの目利きにかなった新人女優をヒロインに迎え、波瀾万丈の撮影が始まろうとしていた。

https://pompo-the-cinephile.com/#story(公式サイトより)

映画の映画

©2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA/ 映画大好きポンポさん製作委員会

『雨に唄えば』『ニュー・シネマ・パラダイス』『今夜、ロマンス劇場で』など映画をテーマとした映画には名作が多い、日々行っている映画を撮影するという行為自体を作品にするため監督自身の苦悩などを入れやすいからなのかもしれない

今作『映画大好きポンポさん』はアニメ作品ではあるが、映画をテーマとした映画である。ニャリウッドという架空の都市を舞台に、敏腕プロデューサーに見初められたジーンという青年を中心に一本の映画が完成するまでを追った珍しいタイプのストーリーだ。

というのも映画をテーマとした過去の名作たちは映画をストーリーの主軸に据えながらも、結局は登場人物同士の恋愛模様を描いているモノが多いからである

しかし今作は映画の製作現場で全てのストーリーが完結する。主人公は徹底して映画が大好きな映画ジャンキーでヒロインとはくっつかないし良い感じにもならない、という絵柄はロリロリした深夜アニメっぽいが硬派な内容

陰キャにやさしく

前述の通り主人公ジーン・フィニは、ヒロインであるナタリーやポンポさんとは一切恋仲にはならない。この映画は陰キャに向けたモノでもあるからだ。

一般的に深夜アニメというと、主人公である何のとりえもなさそうな男の子意外な一面があって、いつの間にか周りの女の子たちに気に入られてハーレム状態になる。なんて作品が多かった、我々はそんな主人公に感情移入して推しキャラにブヒっていた

でもふと我に返るとどうだろうか?自分は意外な一面なんてないし、あったとしてもツラがよくないからハーレムなんて作れない。びっくりするくらいの虚無感を感じたことがあるのは筆者だけではないだろう

対してジーン・フィニは映画が恋人というクマだらけの冴えない青年。ただしその映画に造詣が深いという一芸だけで人々に認められ輝いてゆく、この作品を視聴する方はきっとアニメにも映画にも一家言持った人だろうからとにかく感情移入しやすいのだ

さらにポンポさんが何故ジーンを監督に選んだのか、という理由を明かす「満たされた人間はモノの考え方が浅くなる。幸福は創造の敵」というセリフも、陽キャの存在が羨ましくてたまらない白面の者の目をした陰キャ(=満たされざる者)にはズッポシ刺さる温かい言葉だ

編集

編集 カメラ

また、今作の特徴の一つに”編集”という作業を一つのエンタメに昇華させている点が挙げられる

映画がテーマというと撮影現場での悲喜こもごもが描かれる場合が多いが、ポンポさんでは撮影現場でこれといった事件や挫折は起こらない、むしろスムーズに撮影現場のシーンは終わってしまう。その撮影した膨大な時間のフィルムを1時間半から2時間の尺に収める編集作業での一波乱が今作の山場だ

パソコンの前に座ってシーンを繋いでいくという一見地味な作業を、でっけぇ剣でフィルムを切り裂いていくという主人公の精神世界でのスタイリッシュな描写で表現。はたから見たら馬鹿っぽいのだろうが、これが意外とカッコいい

さらに大事なシーンを自分の一存で捨てていくという、苦痛を伴う作業を通して主人公ジーンの成長までを描いている。劇中劇の『MEISTER』の主人公とのシンクロ率が徐々に上がっていくシーンは一見の価値ありだ

総評

こじらせた青春を送った青年が、こじらせた青春の中で培った映画好きという唯一の武器を手に周囲に認められていくというストーリーは、同じくこじらせた青春を送った経験のある私たちに凄く刺さる内容でモノづくりをする方にもお勧めできる

ご都合主義だとか、ヒロインのナタリーの声優(=樹海村のアキナ役)があんまり上手じゃないだとか、突っ込むところは色々あるかもしれないが『セッション』のようなテンポの良さとカラッとしたストーリー展開が魅力の一本だ。

あと気に入ってるのは1時間半で終わるってとこかな

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