四畳半タイムマシンブルース ファンディスク的一本

スポンサーリンク
MOVIE
この記事は約10分で読めます。

四畳半神話大系がアニメ化されてから12年、サマータイムマシンブルースが放映されてから17年。

両方の作品に関わっていた上田誠の縁で、名作がまさかの融合!

結果どちらのファンもニッコリのファンディスク的作品だったゾ

スポンサーリンク

あらすじ

ある夏の日、大学生の「私」が暮らす京都・左京区のぼろアパート「下鴨幽水荘」で唯一のエアコンが使えなくなる。

悪友の小津が昨晩リモコンを水没させてしまったのだ。「私」が後輩の明石さんと対策を相談していると見知らぬ男子学生・田村が現れ、彼は25年後の未来からタイムマシンでやって来たと語る。

そこで「私」はタイムマシンで昨日に戻り、壊れる前のリモコンを取ってくることを思いつく。しかし、気ままな小津たちが勝手に過去を改変してしまう。

時系列

まずは単純なようで複雑なストーリーを時系列で読み解いていこう

四畳半タイムマシンブルース 時系列
  • 99年前
    城ヶ崎、沼の主かっぱ様となる

    この時ラップに包まれたリモコンが沼の底に沈む

  • 2年前
    私、大学に入学

    京福電鉄研究会に入会し小津と出会う

  • 2月
    私、明石さんと出会う

    その際もちぐまんを渡しているため、この世界線となった

  • 8月11日朝
    25年後の未来からタムラくんがやってくる

  • 8月11日昼
    明石さんの映画撮影

    8月12日の小津が映り込む

  • 8月12日のハヌキさん撮影に乱入

    同時に8月12日からは師匠と小津も同行

    面白いのでタイムマシンのみ8/11に戻す

  • 私、明石さんも12日からタイムスリップ

    12日から来たハヌキさんを伴ってオアシスへ先回りする

    オアシスには師匠も小津もいた

  • 11日の私たち、映画撮影終了

    汗を流そうとオアシスへ向かう過去の面々

  • 師匠、自分からヴィダルサスーンを盗る

    画面の隅に座る三人は12日の小津・私・師匠だった

    女湯から12日のハヌキさんが声をかける

  • 8月11日夕方
    11日の私、オアシスを出て明石さんを追う

    リモコンを12日の明石さんに託す

    同時に小津も過去の私を追いかけたため12日の私もそれを追いかける

  • 12日の私、鴨川幽水荘に戻って来る

    リモコンをハヌキさんに取られ、取り残された12日の明石さんと会う私

  • 12日からハヌキ・城ヶ崎・師匠・小津が戻ってくる

    リモコンは故障させまいとラップをぐるぐる巻きに

  • 城ヶ崎99年前にタイムスリップ

    相島との話に整合性をつけるためとはいえ、ラップ巻きのリモコンを持っていってしまう

  • タムラくん25年後にリモコンを取りに行く

    これでリモコンは元の位置に戻った

  • 私以外を残して12日に戻る

    明石さんに過去の自分を五山送り火に誘えと言われる

  • 私、11日の明石さんと出会う

    勇気を出して2人きりで五山送り火に誘う

  • 8月11日18時
    リモコンにコーラがかかる

    11日の面々がオアシスから帰ってくる

    何故か師匠に裸踊りを提案されるも押入れに隠れる12日の私、その後はずっと押入れの中で過ごす。

    かくして地球の安寧は守られた

  • 8月12日朝
    ケチャ、リモコンを掘り起こす

    夜通しリモコンの通夜が行われたのち、99年前城ヶ崎が落としたリモコンを回収

  • 8月12日昼
    明石さん撮影データに小津発見

    師匠はヴィダルサスーンが盗まれているのに気づき、そこら辺を散歩して戻ってきたタムラ君と邂逅

  • 私・明石さん・ハヌキさん・城ヶ崎タイムマシンを発見

    小津が11日にタイムスリップ

  • 11日に戻ってリモコンを取りに行こう!

    快適な夏休みを過ごすため、4人は考えつく

    じゃんけんで小津・師匠・ハヌキさんの先遣隊が11日に戻る

  • リモコンが無くなると宇宙がヤバいことに気づく

    タイムマシンのみ戻ってきたため、私と明石さんもタイムスリップ

  • 8月12日夕方
    小津・師匠・ハヌキさん・城ヶ崎が戻ってくる

    リモコンを保護しようとラップでぐるぐる巻きにする

  • 私、押し入れから脱出

    約1日ぶりの押入れの外、まずは水飲んでトイレ

  • 私以外の面々、11日から帰還

    大団円、タムラ君も25年後に帰る

  • 24年9ヶ月後
    タイムマシン制作開始

    未来の鴨川幽水荘の面々が酒盛り中に熱くなり制作を決意

  • 25年後の8月11日早朝
    タムラ君25年前に旅立つ

    史上初のタイムトラベラー

  • 25年後の8月11日夕方
    タムラ君リモコンを取りにくる

    みんなタムラ君が心配だった

  • 25年後の8月12日
    タムラ君帰還

コラボ

今作は2020年に四畳半神話大系の原作者である森見登美彦の同名小説が原案。

両方に登場するキャラクターは同じ大学生。そして両方の作品には劇団ヨーロッパ企画主宰の上田誠が関わっており、森見登美彦と上田誠は今作の舞台である京都出身…と様々な縁があっての作品となっている

コラボレーション作品といえば『貞子VS伽耶子』みたいなガチ対決から『ルパン三世 VS 名探偵コナン』のようなVS要素あんまりなくない?的なモノまで玉石混合。特にどちらかの作品の主張が強すぎても一方の作品のファンからはクレームがついたりつかなかったり。

しかし今作に限ってみれば両者は喧嘩せず非常に棲み分けができているので非常に安心だ。

しいていえば主人公である「私」の立ち回りが若干陽キャっぽいというところは挙げられるが、四畳半神話大系の世界観の中でサマータイムマシン・ブルースのストーリーがそのまんま起きるのだから。

あくまでパラレル

サマータイムマシンブルースの内容といえば、壊れてしまったエアコンのリモコンを昨日に取りに戻るという非常に馬鹿馬鹿しいもので、この馬鹿馬鹿しさが四畳半神話大系に非常に馴染む

さらに四畳半神話大系自体、主人公が一回生時に選んだサークルごとに様々なパラレルワールドの大学生活を過ごす、という内容である

あくまで今作もそのパラレルワールドの一個として捉えられるため、原作好きなら原作のみを認めれば良いし、アニメ版が好きな人はアニメ版のみを認めれば良いし…とアンチも湧きにくい

今回のループはサマータイムマシンブルースの世界観ではあるが、四畳半神話大系の側に立つと主人公がサークルに所属せず、もちぐまんをヒロインである明石さんに返せた世界線の話となる

両方を視聴していたファンとしては、そのまますぎて新鮮味は全くないけれども、これで良いのだ

総評

サマータイムマシンブルースを高校生の時に視聴し、大学生活に思いを馳せ

四畳半神話大系を大学生の時に見て、自らの境遇と照らし合わせながらニヤニヤしていた世代

そんな筆者からするとこのコラボレーションに非常に驚き、心待ちにしていた

いざ蓋を開けてみれば、やはり両者は全く当時と変わらず私たちを迎え入れてくれた。それはあの頃筆者が体験したすべてであって、全てでなかった。

あれから10年以上という年月が経ち、高校生や大学生だった者たちは社会に揉まれている最中だ。部下ができ徐々に昇進も経験していく中で、一人もがき続けている。

そんな中で鑑賞したこの作品は、学生時代の友人が未だに変わらず馬鹿やってるのを見たような、そんな気分にさせてくれる一本となっている。

コメント