見ている側・演じてる側・撮影してる側も息つく暇もない撮影技法を使った意欲作です!
あらすじ
酒を飲み、ドラッグを摂取し、セックスをする。
自らの喉を切り裂いた仮面の殺人鬼をおびき出すために、“ホラー映画の禁忌”を犯すティーンエイジャーの少女の姿を、“全編ワンカット”映像で見せるスラッシャー映画。
ワンカットとは?
映画(と、物語を想起させる映像作品全般)において、ある章を構成する映像の連なり(シーン)を、ひとつのカットのみで表現すること。
つまり今作は一回も撮影を止めていない、ということです。
ワンカットで撮影する場合、カメラの画角にスタッフや機材など演者以外が映らないようにしなくてはいけません。
演者の演技次第では99%完璧な演技であったとしても、残りの1%セリフを噛んだりすると上手くいったいた99%の部分も撮影し直しになるという、
かなりエクストリームな撮影技法なんです。
高難易度
そんなエクストリームな撮影技法を使って、アクションシーンを撮影しているのですが、
ワンカットである強みを生かし、カメラを左右に振った瞬間に演者を元の画角から外し
あたかも瞬間移動したかのように見せるという高等テクニックまで使っているのが今作の凄い所!
確かに10分未満という短い作品なのですが、絶対に何十回何百回の撮り直しを経て完成したに違いありません。
まさに努力の結晶、160のフェスティバルで、40ものアワードを取得したのも納得ですね。
リスペクトと挑戦
今作の殺人鬼は何故かスタートレックに出てくるスポックのマスクを着けているのですが、これには理由がちゃんとあるのです。
名作スラッシャー映画「ハロウィン」に出てくるサイコキラー・ブギーマン
彼が被っていたマスクがスタートレックのカーク船長をモチーフにしていたという所をリスペクトしているとのこと。
過去の名作へのリスペクトをこの殺人鬼のマスクに込めていたのです。
それと同時にホラー映画に対して非常に挑戦的な作品でもあります。
主人公のブロンドの女の子は、ホラー映画で実行したら確実に殺される暗黙の了解、ホラー映画の禁忌をなんとToDoリスト化してメモしてあるんです!
それも自分に傷を負わせた殺人鬼を呼び出すための罠として!
これだけメタ要素が入っているホラー作品は余りないと思いますし、オタクはこういうお約束が大好きなもの。
同じような”お約束”を扱っている作品に「ゾンビランド」や「CABIN」が挙げられますがどちらも最高に面白いですよ!
ホラー映画オタクは一見の価値ありなショートムービーだと思います!
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