バットマンシリーズのスーパーヴィランで言わずと知れた「ジョーカー」
彼は如何にしてその身を悪に堕としたのか、 ホアキン・フェニックスの熱演が光る超話題作!
あらすじ
ピエロ派遣会社に勤める大道芸人アーサー・フレックは気弱だが実直な性格で、いつかスタンダップコメディアンになることを夢見ていた。
しかし、現実は残酷で生来のトゥレット症候群により突然笑いだしてしまう彼は自然と周りから疎まれてしまう。
とある日、ピエロの営業をしていた彼をゴッサムの悪ガキが急襲!アーサーは心身ともにボロボロになったうえ、派遣会社の社長から大目玉を喰らってしまう。
見かねた同僚が護身用にと銃を渡すが、これが悲劇の引き金となる。
小児病院の営業に来たアーサーは持ち前のおっちょこちょいで子供たちの前で銃を落としてしまう、これが社長の逆鱗に触れあえなく解雇。
認知症の母、貧乏な暮らし、孤独感、その上職まで失ってしまったアーサーは帰りがけの電車で若いサラリーマン達に絡まれてしまう。
殴る蹴るの暴行に思わず激昂し、持っていた銃でサラリーマン達を殺害。
この行動がアーサーの人生とゴッサムシティの運命を変えてしまった。
ガリガリ過ぎませんか
アカデミー賞を総なめするのではないかとも噂される今作、最早伝説となっているバットマンシリーズの「ダーク・ナイト」でジョーカーを演じた故ヒース・レジャーに負けずとも劣らない演技を見せるのは主演のホアキン・フェニックス。
かの名作「スタンド・バイ・ミー」で主演を務めた故リバー・フェニックスを兄にもつ役者一家の次男です。
今作のために24kgもの減量を敢行し、病的ともいえる並々ならぬ熱量で挑んだジョーカー役はまさにはまり役。
作中革靴を柔らかくするシーンで半裸の背中が映るのですが、痩せすぎの上に物凄い猫背となっているため本当に人体なのかと疑うほどのフォルムに驚きました。
まるで餓鬼です
とにかく救われない
ストーリーに関しては言わずもがな、最終的には気狂いのピエロメイク男が出てくるくらーい話なのは間違いありません。
まかり間違ってもデートで観ないでください。
主人公が闇堕ちする結末が分かっていて展開していく映画としては「スターウォーズ」シリーズの1~3が有名ですが、3部作で主人公の心理描写を細かくしてゆくのは時間的余裕があるので非常に簡単でしょう。
しかし!今作は2時間という時間的制約がある中で、一人の青年が徐々に壊れてゆく様を緻密に描き出しているところがすごいんです!
最終的に悪の権化としての才能が開花し、人々にやっと受け入れられ炎上する車の上で踊る様は、見ていて鳥肌が立ってしまいました。
ただそこまで本当に救われなくて暗いので視聴後はとても疲れます、私は真昼間に見た後思わず昼寝してしまいました。あとタバコメチャクチャ美味そうに吸うのでまた禁煙の禁を破りそうになりました。
ゴッサムシティを笑えない
バットマンシリーズでお馴染みの「ゴッサムシティ」ですが、貧困や格差が進み市民の心は荒み切っているという設定でとにかく治安が悪いんです。
これはあくまで架空の都市であったが、現実のアメリカや日本もゴッサムシティを笑えない所まで来ているのではないでしょうか?
国民総中流、そういわれた日本が失われた30年で貧富の格差が珍しくないものとして定着するようになって久しい、国内では珍しかった餓死事件も起きるようになっていますよね。
この失われた30年に就職期を迎えた世代、つまるところのロストジェネレーション、
その中でも失うものが無い所謂「無敵の人」が起こす凶悪犯罪も起きています。
明確な思想を持たずとも、自らを痛めつけてきた社会への復讐を考える「ジョーカー」のような人間が既に現実に生まれているのです。
「フィクション」はいくら狂っていてもいい、「現実」という逃げ道があるから対比や安堵感から作品に深みが増す。
しかし、「現実」が狂ってしまったらどうか。
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