女優霊 背後で嗤う女

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女優霊 ロゴ イラスト MOVIE
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『リング』の中田秀夫監督のデビュー作、高橋洋と初めてタッグを組んだ作品でもある。

Jホラーブーム勃興の狼煙をあげた記念碑的作品

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あらすじ

新人映画監督の村井俊男は自身のデビュー作を製作中、その作品のカメラテスト中に別の映像が紛れていることに気づく。

村井はその不気味な映像に何故か見覚えがあるのであった。

それ以降、撮影現場では奇妙な現象が起こり始める。

オススメポイント

ジワジワ近づいてきては消えるなど、きっちり怖いツボを押さえているので近年のJホラーに飽き飽きしている方にオススメ

最後にクッキリバッチリ女優霊が出てくる、リングの山村貞子の原型となったキャラクターで顔面自体は怖くないがホラーに耐性のない人はキツいので注意が必要

誰もが体験する出来事

あたりが仄暗くなる黄昏時、テレビに映る映像にふと恐怖を感じたことはないだろうか?

幼少期たまたま見てしまったホラー映画のCMや心霊番組は、生涯尾を引くトラウマとなって脳裏にこびりつくことが多い。

今作はそんな幼少期のトラウマを掘り起こしてみたら余計に怖かったという、すごく嫌なテーマのホラー映画だ。

全編にわたってどんよりとした空気が漂い、じわじわと怪異が忍び寄る恐怖、初監督作品にして中田監督の真髄を見ることができる

背後という恐怖

人は弱肉強食だった原始の時代から背後が怖い、それは防衛本能のせい。

また、自分では絶対に視認できず把握ができない未知の部分である背後に不気味さを感じているのかもしれない。

そんな背後の不気味さをこれほどまでに駆り立てる映画を筆者は知らない

とにかく登場人物の背後に意味ありげに立つ怪異に、防衛反応とは別の恐怖を感じ毛穴が総毛立つ

嗤う女

背後に立つ怪異は終盤まではず〜〜〜っとピンボケでスクリーンに現れるが

そのピンボケが不気味さを一層引き立てている


最初に登場するシーンではピンボケしながら女優の背後で爆笑している怪異だが、

ピンボケしているが故に顔の造形が細部まで分からず、「ただただ狂ったように笑う女」という抽象化をされてしまっている

抽象化されているが故に視聴者は「女はどんな顔をしているんだ?」という好奇心に似た呪いをかけられてしまう

何回も「狂ったように笑う女」の映像を反芻することになり、勝手に恐ろしい顔を想像してしまうのである、この時間の不気味さったらない

ただ終盤にガッツリと顔が写って、それがあんまり怖くないのが少しマイナス要素…


背後に迫る恐怖と抽象化されることによる恐怖、二重の恐怖を味わうことが出来るのがこの作品の一番の魅力なのだ

考察

女優霊とは何だったのか?

作中に登場する怪異であり、昭和46年撮影された映画に映り込んでいた。

この昭和46年に撮影された映画は『白い扉…(字が潰れて読めない)』という作品で、

内容はこうだ

母親が娘を怖がらせるために「夜中屋敷を歩き回る女がでる」という嘘をつく

しかし母親に彼氏ができると、途端に娘が邪魔になった

母親の人格はだんだん分裂し、嘘の中に登場した女になりきって娘を殺そうとする

この作中に出てきた別人格の母親、作中でも夜な夜なステージに現れるという噂が立っていたが、これが今作に登場する怪異であると推測される

主演の城野由紀子の魂のこもった演技が災いし、言霊が怪異を作ってしまったのだ。

黒川ひとみは「母親の役を以前演じた時、家に帰っても子供達の足音が聞こえた」というように、役がハマった黒川の演技には城野と同じく言霊が宿っていることを示している

黒川の演技に呼応して怪異が呼び覚まされてしまったのだ。

村上沙織の「母さん」

新人女優である村上沙織は黒川との演技の中で「母さん」というアドリブをしている

新人女優が初主演の映画でアドリブをキメるだろうか?

これは村上が台本を読み込み感情移入した結果生まれたものではない、昭和46年撮影の映画に出てくる娘役に影響されて出たものだ。

実際この後村上は過去の映画が生み出した母親の第二人格に殺害されてしまっている。


ちなみにこの村上沙織役の石橋けいさんは、静岡のローカル珍CMコンコルドの母親役で広く静岡県民に知られている

実は神奈川県の横浜の出身だ。

総評

「リング」のタッグが初めて手を組んだ作品で、怖さも十分ではあるが終盤の怪異の顔が思ったより怖くないの残念、実はこの感想が当時も多数派であったらしい。

しかしその感想によって山村貞子のフォルムが生まれることになる、歴史というのは面白い。

背後に迫る抽象的な不気味、いや〜な後味が残る作品である

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