頭部を換装することで、今まで受けてきた全ての攻撃を無効化する事でお馴染みのアンパンマン。
劇場第11作目にして驚くべき設定が明かされる!
作品名(評価):アンパンマン 勇気の花がひらくとき(B +)
制作(公開年):日本(1999)
監督:篠原俊哉
主演:戸田恵子、雛形あきこ他
あらすじ
お城の生活に飽きたキララ姫は、ある日アンパンマンワールドにやって来る。
城の生活とは全く違った世界に楽しさを覚えていた姫だったが…。
雛形あきこという歴史
毎度人気の芸能人をゲストキャラクターの声優に当てる、という幼児向け映画を観に来る大人のためのサービスがある
アンパンマンシリーズでも1996年から始まったゲスト声優制度、初出はグラドルの吉野公佳であった
時代を彩った芸能人たちが名を連ねているが、今作は1999年当時人気のあった雛形あきこがキララ姫役で出演している
ちなみに雛形あきこは、クレヨンしんちゃんの劇場版『ヘンダーランド』にも声優参加している、クレしんの定番シーンであるしんのすけにナンパされる役として、本人役での出演だ。
雛形あきこは藤原紀香・広末涼子など、世代ごとの美女が座る王座に一時君臨していたのである。
宇宙
雛形あきこの声優起用と同様、今作は当時流行っていたものを色濃く反映している
オープニングからいきなり無表情でカウントダウンを始めるアンパンマンは、そのまま宇宙空間へとバイキンマンを連れてジェット噴射でぶっ飛んでいく
かなりクレイジーな世界観であるが、今作が公開された1999年の前年は国際宇宙ステーションが着工された年なのだ
1番ホットであった宇宙要素を取り入れていることからも分かる通り、幼児向けアニメを振り返ることで当時の世相を読み解くことができる。
幼児向けアニメは時代を語るのだ
元気
さて、そんな時代を語る今作であるが、題名の通り”勇気“がテーマとなった一本
愛と勇気だけが友達とかいうアンパンマンだ、いつもの調子ならバタコさんに頭部を換装されて“元気100倍”とか言うところだが、今作ではそのカラクリが明らかになる。
視聴者に待つのは、アンパンマンを元気100倍にしていたのは、ジャムおじさんの手腕ではなく“勇気の花のジュース”だったという衝撃の事実!
バイキンマンや様々な悪を成敗してきたアンパンマンの勇気に溢れた拳は、実はドーピングによって形作られていたのだ
勇気の花のジュースを使用していないアンパンマンは元気が3倍しか出ておらず、バイキンマンの特大メカにビビり散らす始末
当時のアンパンマン信奉者達はビビり散らすアンパンマンを見て、なにを思ったのだろうか?
勇気
そんな散々な扱いのアンパンマンなのだが、最終的には絶体絶命に追い込まれたキララ姫を助けて勇気100倍で復活する。
今度は恐らく現実世界で存在していれば禁止薬物とされているであろう勇気の花のジュースではなく、キララ姫の特殊アイテムであるスタースティックによっての復活だ。
そう、結局今までのアンパンマンの活躍は、アンパンマン自身の能力ではなかったのが今作で露呈したことになる
子供達は今作のアンパンマンを見て、なにを感じたのだろうか?
総評
アンパンマンは勇気の花というチートアイテムを常用することによって勇気を発揮していた、という衝撃の事実が発覚する今作。
今作におけるアンパンマンはユンケルや滋養強壮剤を多用して日々を生きる社会人たちを暗喩している、というのは穿った見方なのだろうか
幼児向けとしては少々ヘビー過ぎるような気もするが、アンパンマンシリーズにおいて割と人気の作品でもある。何故なのかはわからないが、子供と見に行った大人がアンパンマンに自分を重ねるのが、その要因の一つなのかもしれない。
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