カルト映画の代表作としてよく挙げられる「食人族」がモチーフとなった今作。
実際にジャングルの奥地に住む先住民カラナヤク族に撮影協力を取り付け、カニバリズムという禁忌を描く!
あらすじ
国連職員の父を持つジャスティンはアレハンドロ率いる環境や人権を過激な行動で主張するグループに興味を持っていた。
そのグループは原住民のヤハ族を迫害して熱帯雨林を開発しようとする大企業を止めるべく、アマゾンの熱帯雨林へ行く計画を立てており、勧誘されたジャスティンは一路ペルーの奥地へ。
結果として森林の開発を阻止したアレハンドロ一行は嬉々として強制送還のジェット機に乗るが、途中エンジンが爆発炎上!ジャングルのど真ん中に墜落してしまう。
墜落死したメンバーを見て憔悴した面々の前に現れたのは件のヤハ族、助けを求める一行は毒塗りの矢に射られ気絶してしまう。
そう、ヤハ族は食人の文化が宿る「食人族」だったのだ…
何が正義で何が悪なのかというかテーマは何なのか?
スナッフビデオやネクロフィリアなど、禁忌と呼ばれるものに人は惹かれてしまうものである。今作もカニバリズムという禁忌を描いた問題作!ということで結構な期待をしていた…
が!
一体今作が何を汲み取ってもらいたくて制作されたのかがいまいちよくわからなかった。
とりあえず見どころから紹介していこう。
カラナヤク族の微妙な演技
今作最大の特徴なのが食人族であるヤハ族たち、彼らはなんと映画のエキストラ募集で応募してきた者達ではなく実際の先住民であるカラナヤク族にインフラ工事などの条件を提示して出演してもらったという。
もうこの時点で先住民族の生活を破壊する気満々、エゴがすげぇ!
でもなにより凄いのが先住民カラナヤク族の演技
とりあえずやってます感がドイヒーなのである
いかんせん人数が多く、自分はそんなに頑張らなくてもいいっしょという、合唱コンクールでばれないように口パクする陰キャみたいな感じなのだ。
カラナヤク族の自然な風俗がわかる
こうやって演技して!ここで叫んでて!みたいな露骨な演技指導が入っている所は見るに堪えないのだが、冗談言っておどけるなど和やかな談笑風景や食事の様子はとても微笑ましい。
それがたとえ食人のシーンだとしても、だ
ジャングルの奥地にはまだこうして自活を続けている民族が本当にいるのだ、という事実に改めて気づかされると共にそこに息づく人をリアルに感じられる。
ちょっとした紀行番組を見ている気分になれるぞ!
そう、見どころのほとんどはカラナヤク族だ
あ、ワンシーンだけ局部も映るよ!
今作のここがダメ
続いて今作のダメな所、冒頭でもお伝えしている通りテーマがよくわからないのだ。
グロにしてもR指定にしてはそんなにハッとするようなシーンはない、確かに人間がア○ルから口まで串刺しにされているシーンは衝撃的だが、オマージュ元の「食人族」で既にやっている。
では社会風刺なのか?
環境破壊を防ぐためにアツい思いを持っている若者が残酷な所業にあう。
これは環境破壊を続ける人間を批判しているのか?いいや環境破壊をしていた工事業者は終盤主人公を助ける善玉(?)にかわっている。
ではえぐい文化をもっている先住民に対する差別への批判なのか?いいや、だったらそもそもこんな企画はしない。
じゃあ何がテーマなのか?結局筆者は何も汲み取れなかった。
一回見ればいいや、そんな言葉が似あう凡庸なスプラッタ映画だ
次回作の構想がありながらも撮影が行われていないのがその証左であるのかもしれない。
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