2008年世界中を震撼させたムンバイ同時多発テロ事件をベースに描く衝撃の群像劇!
今作かなりオススメです !!
あらすじ
2008年に起きたムンバイ同時多発テロの際、タージマハル・ホテルに閉じ込められた500人以上の宿泊客と、プロとしての誇りをかけて彼らを救おうとしたホテルマンたちの姿を描く
超ハイレベルな群像劇
「ホテルムンバイ」一番の魅力は何といっても群像劇。
スポットライトが当たるのはホテルの従業員であるアルジュンとホテルの宿泊客4人ですが、脇役である料理長や地元警察のメンバーやテロリストの青年たちも含めるとなんと10人以上の人間が舞台であるタージマハル・ホテルを右往左往するのです!
通常映画といえば主人公・ヒロイン・脇役の三人ほどを中心に展開していき、同じフレームの中に納まっていることが多いです。
そもそも多くの登場人物を登場させるとスポットライトを当てる人物を絞ることが難しくなり、スクリーンに登場しない部分の行間を読ませる演出も苦労してしまいます。
その点今作は「実話ベース」が奏功し、多くの人物を登場させているのに破綻していません。
スクリーンの中で登場人物が息づき、各々の心情・行動原理に沿って動くことで臨場感と没入感が段違いとなっています。
ムンバイ同時多発テロ
そもそもムンバイ同時多発テロとは何なのか?
wikipediaによると以下の通りです。
2008年11月26日夜から11月29日朝にかけて、インドのムンバイで外国人向けのホテルや鉄道駅など複数の場所が、イスラーム過激派と見られる勢力に銃撃、爆破され多数の人質がとられまた殺害されたテロ事件である。
死者171人負傷者284人の犠牲者の中には日本人観光客も含まれていました。
憎悪が生み出したもの
テロリズムはもちろん悪でありいくら一方に大義名分があったとしても決して礼賛されていいものではありません。
この映画でもテロが如何に凄惨で、罪のない人たちが如何に惨たらしく殺されていったかがまざまざと描かれており衝撃的なシーンもかなりあります。
しかしこの映画は宗教に疎い我々日本人こそ見なくてはいけない映画なのではないかと私は思います。
宗教間の対立という抽象的な争いで人が死ぬ、そんな遠い世界の出来事かに思えることも入管法が変わって外国籍の人間が多く流入してくる現代日本にとっては他人事では済まされない出来事なのです。
ヘイト感情を高める映画ではない
この映画が他と違う点がもう一つあります、テロリストの青年にもスポットを当てている点。
再三記述しますが、テロを引き起こし人を殺した所業に関しては地獄に落ちても生ぬるいとは思います。しかし彼らもまた一人の人間なのです。
水洗便所を見てはしゃぎ、美味しそうな食べ物を頬張り、からかわれたら怒る―
そしてもちろん彼らにも家族を思う気持ちがある、そんなシーンを挟み込むことで「ヘイト感情を向ける目的ではない」そんな思いが見て取れます。
憎むべきはこの対立構造を生み出した人物や政府、そして戦争なのです。
原動力は家族愛
作中の人物ほとんどが家族を持っています、そして生き残る原動力となっているのがこの家族への愛です。
時にはその家族を守るために自ら命を賭して戦う姿は本当に胸打たれます、やっていることはもちろん真逆なのですが、広義で言えばテロリスト側も家族を守るためだったのかもしれませんが…
こんな事件が10年ほど前にあったことと、家族を守るために戦い抜いた方がいたことを忘れないようにしたいと思いました。
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