曲者揃い、潜水士4人、深海200mで孤立。何も起きないはずがなく…
あらすじ
石油のパイプラインが故障し、ソマリア沖の深海で作業をすることになった潜水士4人。
順調に進んでいたはずが、いきなりの嵐で母船が沈没してしまい
4人を乗せた作業タンクが水深200メートルで孤立してしまう…。
酸素も残りわずかの中、作業員4人は生き延びることができるのか! ?
(Wikipediaより引用)
深海あるある
深海に潜るための作業タンク内では、深海で掛かる何tという水圧に対応するため、タンク内を加圧してから深海に潜ってゆく、その圧力ゆえ陸上ではあり得ないことが起こるのだ。
などなど、普段なら見る事のない潜水士のあるあるを追体験できるのが今作の魅力の一つ。
特に歯の詰め物なんて激痛でのたうちまわってるのに、事前に回避不可能なところが怖い。絶対潜水なんてしないからいいけど。
誰が主人公か
登場する4人の潜水士はそれぞれ家庭環境に問題を抱えていたり、アル中やとんでもないトラウマを抱えている者、奥さんが臨月を迎えている死亡フラグビンビンな者までキャラクターが4者4様。
通常こうしたパニックものは主人公を中心にストーリーが展開していき、仲間内で主人公と対立するものが出たりするのが一般的。
しかし今作は誰が主人公かは一切明示されておらず、誰がどんな順番で死んでいくか全く予想がつかない。
言い争いもほぼ全員で行うし、みんなしてギスギスしだす。次の瞬間誰かが急に発狂して船外に出て行くか分からないという、何ともシビアでリアルな世界観を堪能することができるのだ。
トリプルミーニング
タイトルのプレッシャーは“圧力”という意味の単語であるが、筆者はこの圧力に三つの意味が込められているのではないかと考察する。
漆黒の深海が登場人物たちにかける“水圧“
生命を繋ぐために必要な酸素が時間と共に0に近づいていく事に焦る“精神的圧力“
家族から受ける期待という名の圧力、過去のトラウマから受ける圧力など、“陸上生活“からの圧力
以上三つの意味が込められたタイトルなのではないだろうか。
もちろん主題として挙げられるのは水圧と精神的圧力の方なのかもしれないが、登場人物たちがぶつかり合い、死んでいくシーンには諦めや狂気はそこまで見られない。
死に近づいていたとしても、地上生活の贖罪や人間的な成長を感じられるのはこの三つ目の圧力の存在があるからなのではないだろうか?
総評
深海パニック映画という多少ニッチなジャンルであるが、
静かに終わりに近づいていく冷淡さと、その大自然に対して生存をかけて行動していく登場人物の対比が絶妙。
主人公を1人に固定しない事で先のストーリーが非常に読みにくくなっているとともに、
生きるためには犯罪も厭わない、という勧善懲悪に囚われない生存本能が嫌みったらしくなく描かれている。
バッドエンドが多いパニック系だが、きちんと救いのある終わり方であるし後半の展開もアツい!暇時間にオススメできる一本。
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