都市伝説界で最早定番化している”犬鳴村”の逸話を『呪怨』シリーズの清水崇監督が描くとなってはもう期待大!
しかし実際はその上がりきったハードルを悠々とくぐってしまう残念な出来栄えだったんです…どうしちまったんだJホラー!
ネタバレありで徹底レビューします!
あらすじ
昔から霊が見えてしまう臨床心理士・森田奏の周囲で、突如奇妙な出来事が起こり始める。それらの共通点となるのは、日本最凶の心霊スポットと呼ばれる“犬鳴トンネル”だった。
奏は真相を突き止めるべく“犬鳴トンネル”に向かうが、その先には身の毛もよだつ驚きの真相が待ち受けていた。
CMがネタバレすぎる
現在地上波で放映されているCMは皆さんご覧になったでしょうか?
主人公・奏の弟の彼女が発狂死したのち霊体となって車に降ってくる、というシーンなのですが、このシーンが犬鳴村のハイライトなんです!一番びくっとするところなんです!
確かに衝撃的なシーンなので作品の宣伝にはぴったりのシーンなんですが、劇場で見ていると「あ、これ降ってくるやつでしょ?」と完全に構えてしまうため恐怖感が薄れてしまっています。
その後も弟の所業に巻き込まれて呪いを受けてしまったヤンキー三人と発狂死した彼女が車の中にいつの間にか乗り込んでくる展開になるのですが、はっきり言ってシュールすぎます。
恐怖と笑いは紙一重というのは桂枝雀さんの「笑いは緊張と緩和」理論に基づく考え方ですが、今作は恐怖ではなく笑いの方に振り切れてしまっているのが残念です。
予告編に関してはスポット予告、冒頭8分間ノーカット公開版、ノーカット公開版(恐怖回避版)の三種類が公開されました。
中でも恐怖回避版は特設サイトのみの特殊機能で、画面上のスイッチをクリックすると”SNOW”のような画像加工アプリのようなアイコンなどが画面に表示され恐怖感が薄らぐという仕様になっていて話題を集めました。
プロモーションは上手いですね。
森田家と犬鳴村の相関図(ネタバレ注意)
以上が犬鳴村における重要人物の家系図になるわけですが森田家は3兄弟である必要はほぼないですし、奏役の三吉彩花は顔の造形上妹キャラが全然似合っていません。
ただ近年のアイドル主演でとりあえず作ってみました!というようなJホラー作品に比べてW高嶋(島)など実力派俳優を揃えていますので、ただただうるさい悲鳴や大根演技などが見られることはないのが救いとなっています。
個人的に大橋蓮司は画面に居るだけで一気に説得力が出るので全てのホラー映画に出演してほしいと思います。
犬鳴村に入る方法
作中で明かされる犬鳴村に入る方法ですが、意外とめんどくさいです。
- 犬鳴村や呪いの電話ボックスの位置を突き止める
最初の難関、作中でもどうやって見つけたかは言及ナシ
- 午前二時に呪いの電話ボックスで電話を取る
いつまで鳴ってるか分からんので早めに取りましょう
- 「今から行きます」と受話器に話す
ココでキョどるとただただ呪い殺されます
- 犬鳴隧道を通り抜ける
道中犬鳴村に住んでいた人たちに呪い殺される可能性大
- 犬鳴村 到着!
お疲れさまでした。
以上の手続きを踏まない犬鳴村に入ろうとしても犬鳴隧道入り口は障害物でふさがれており、中に入ったとしてもただただ呪い殺されるのがオチです。
ちなみに犬鳴隧道の撮影現場となったのは”旧犬鳴トンネル”という実際にある超有名心霊スポットです、超有名という事で深夜には全国各地から肝試しに訪れる人間が後を絶たないそう。
現在では映画とは違いトンネル入り口の上部までコンクリブロックでふさがれていて中には入れなくなっているようです。
超展開
今作途中までは都市伝説上の地図に存在しないヤバイ村の存在をホラーパートと推理パートを繰り返しつつ主人公が真相に近づいていくという、『残穢』に近いものを感じるストーリー展開となっています。
しかし主人公が犬鳴村に入る方法を発見してからは世界観が一変、
地図から無くなる前の犬鳴村へタイムリープをして祖母の誕生を見届けると同時に、曾祖母・摩耶が犬と異種姦をして自らの血族が生まれた事を知るという、まさに超展開。
さらに何故か摩耶が犬と人間の中間の様な恐ろしい容貌になって襲ってきます(でも大人の男二人で止めれる)
前半こそ現実世界での話だと少しは怖がることが出来たのですが、後半からは伏線を回収するためだけの怒涛の展開ラッシュに頭の上には”?”マークが浮かんできてしまいます。
せめてその犬女と化した摩耶が怖ければいいのですが、顔も奇麗で創作ダンサーよろしくステップを踏んで近づいてくる様はまたしてもシュールさを感じてしまう出来…。
何とも言えません。
総評
やはり自身のキャリアハイである『呪怨』を超えることが出来なかったという印象しか残らない作品でした。
良い所を挙げるとすれば、実力派を揃えた演者。そして呪いの電話ボックスに大勢の手形がベタベタと付くというシーンで、手形が電話ボックスの外側から付けられたのではなく内側から付けられたことが分かる所です。
それ以外は金のかかった凡百なJホラー作品。
いつになったら『リング』や『呪怨』を超えるJホラーを見ることが出来るのでしょうか…。
にほんブログ村
コメント