近づいたものを自分の意志と関係なく絶命させてしまうという特殊能力
そんなめちゃくちゃ面白そうな設定を贅沢に使った普通のサスペンス映画です。
あらすじ
交通事故を起こし記憶を失くしたまま目覚めたリアム、助けを求め近くの町に入るが目にするのは住民の死体ばかり。
謎のウイルスか何かが大気中に広がっているのではと疑い不安になる。ようやく生存者を見つけたものの近寄ろうとした途端、突如目の前で死んでしまう。
何が起きたかわからないまま、リアムに近寄ったことで続々と増える死者―
分かったことはリアムの半径15メートル以内に近寄った者は皆死んでしまうということ。
誰の助けも借りられず困惑するリアム。
しかし、半径15メートル以内でも死なずにいる女性ジェーンと出会い、同じく記憶喪失の彼女と共にこの謎を解き明かそうとするが…
半径15M
radiusとは半径だとか範囲を意味する言葉で、
今作の魅力はその半径15M以内の人間が全員死んでしまう能力を急に授かってしまった、という設定。そこに尽きると思います。
ハンター×ハンターのノブナガは半径4Mの円(つーかこれが限界)を使っていましたが、それよりも強力な特殊能力という事になるのは皆さんご存知の通り。
15Mと言われてもイメージがわかないですか?
ちょうど男鹿温泉郷に立っている”なまはげ像”と同じ高さといえば皆さんご存知ですよね!
ちなみに半径15Mということは直径が30Mになることは皆さん知ってました?
じゃあ30Mって急にいわれてもイメージ湧かないですよね?
島根県にある宇都井駅の全長と同じななんです!ピンときましたね!
設定の勝利と敗北(ネタバレあり)
あらすじだけを見ても非常にワクワクさせてくれる、そんな設定ありきで作られた今作。
そんな期待に応えるべく、前半は名作SF映画の片鱗を感じさせます!
増えていく疑問・謎、そして追われる身となる二人―
その謎も時間の経過とともに明かされていくわけですが、次第にSF要素は薄くなっていきサスペンス映画の側面が強くなっていきます。
主人公の素性が”ジェーンを殺そうとしたサイコパス”で、特殊能力は”宇宙から発せられた雷に打たれたこと”による発現
というそんなに捻ってない謎への回答が出されてしまうと、後半は一気にサスペンスへと変貌。結果として設定の全てを活かしきれないまま物語はラストシーンへと向かうことになります。
素晴らしい設定でアプローチには成功している作品ですが、トータルしてみるとその設定に飲み込まれてしまっているような気がしてなりません。
総評
前半と後半で明暗がくっきりと分かれる映画で、重厚なSFを期待してみていると肩透かしを喰らう事になると思います。
しかし、ハードルを低くして視聴すれば展開は非常に奇麗。特殊能力による死の描写もちょっと洒落ていますし楽しめる作品であります。
長い時間を掛けた方が様々な展開が出来る気がするので、設定のみを活かした連続ドラマを是非見てみたい。
誰か作ってください。
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