SFスプラッタという難しいジャンルに挑戦した前作から11年ー
エンタメ要素を大幅にプラスしてmeatball machineが帰って来ました!
あらすじ
取り立て屋の野田勇次は、優しい性格が災いし社長から役立たずの烙印を押された中年男。
ある日、勇次らの街はとつぜん巨大なフラスコに包まれて外の世界と遮断されてしまう。そしてフラスコの中の人々は、謎の寄生生物に操られた戦闘マシン・ネクロボーグになり町中で死闘を繰り広げていき…。
蟲毒
そもそもタイトルにもなっている蟲毒とは何なのでしょうか?
蟲毒とは?
動物を使った呪術の一種。
代表的な術式として『医学綱目』巻25の記載では
ヘビ、ムカデ、ゲジ、カエルなどの百虫を同じ容器で飼育し、互いに共食いさせ、勝ち残ったものが神霊となるためこれを祀る。
この毒を採取して飲食物に混ぜ、人に害を加えたり、思い通りに福を得たり、富貴を図ったりする。
人がこの毒に当たると、症状はさまざまであるが、
『一定期間のうちにその人は大抵死ぬ。』と記載されている。
ようは毒虫の最強決定戦をして最も強い毒を作るという儀式を”蟲毒”と言うんですね。
今作は宇宙からやってきた謎のフラスコが容器に、町に住む人間が毒虫役となり現実世界で蟲毒が行われる不条理さ、人間こそが地球にとっての毒虫であるといった暗喩も含まれています。
前作の高橋一生版ミートボールマシンとはほとんどストーリーに関連性はありません。
孤独
田中要次扮する勇次はうだつの上がらない取り立て屋、彼には親はいるものの金をせびる所謂毒親。心のよりどころは古本屋の可愛い店員のみという寂しいタダの中年男性でした。
ガンで余命宣告を受け、ぼったくりセクキャバにまんまと引っかかり児童虐待の罪を被せられた上、警察たちに暴行を受け収監され、しまいにはネクロボーグに取り込まれかけるという人生最悪の瞬間。勇次の体内でも蟲毒が起こります。
ネクロボーグがガン細胞に負け、勇次は完璧に取り込まれず半ネクロボーグという特性を得ることになるのです。
そのおかげで古本屋の店員とも親密に、自分を暴行した警官たちとは死線を潜り抜けたバディとして不思議な友情を育むことになります。
孤独な中年男性は蟲毒によって孤独から解放されたのでした。
作中巨大フラスコに外界の人間が触れることで、自らの内なる気持ちが文章化されフラスコに浮き上がり浄化されていく描写があります。
人は自分の言いたいことを好きに言いふらせるわけもなく、理性を持って自己の内面に留めおきます。人と人は血縁や愛情で繋がっているように見えて、本音を隠し生き続けている。
結局人は孤独なのだ。
ここにも”こどく”のダブルミーニングがかかっているような気がします。
出血大サービス
今作、前作以上にスプラッタ描写にエンタメ性が溢れています。
特筆すべきはその異常な血糊の量!
腕や胴体が真っ二つになるようなゴアシーンでは、あまりに血糊が多すぎる故に赤く映像がぼやける程。以前ご紹介した『アダム・チャップリン』に負けずとも劣らない血の海を見ることが出来ます。
高速移動するネクロボーグとの戦闘シーンなんかのVFXが非常にチープなのは前作譲り、ですがその気合の入った血糊で「前作を越えてやるぞ!」といった意志が感じられます。
臓物なんかはほとんど出てこないので、血糊のわりにグロさは抑え目です。
出演陣もなぜかちょっとだけ豪華なのも魅力の一つ。
主演の田中要次をはじめ、セクキャバのオーナーは鳥居みゆき、ラストシーンでちょっとだけ出てくる謎の宇宙人は斎藤工が演じています。
謎の宇宙人なんかは斎藤工がやる必要が一切ない役どころ過ぎて初見ではスルーしがちです、斎藤工ファンは気を付けて見ましょう。
さらに出血大サービスなのは、古本屋の店員役である現役グラビアアイドル百合沙の生乳が拝めるという点。
本来であれば映画における生乳は非常にエロいもの、
幼少期に見た金曜洋画劇場などで地上波放映された濡れ場での生乳が大人になっても脳裏にこびりついている男性諸君は非常に多いのではないでしょうか?
地上波におけるおっぱいの価値は、放送倫理という言葉が台頭してきた平成時代により価値を高めました。
『普段は見られないモノが見られる』という感覚は、生乳を見るために鑑賞するAVとは違った”特別感”を生むからです。
しかし今作ではストーリー展開上とはいえ監督がただ生乳見たかっただけでは?というタイミングで不意にまろびでます。
何故か今作が初脱ぎとなった百合沙ですが、あまりにも唐突すぎる、そしてあまりにも生乳を中心にしたカメラワーク過ぎてエロさはほとんど感じません。なんだったら中盤に出てくるセクキャバ店員ネクロボーグの乳の方がエロいまであります。
本当に何で脱いだんですか?
総評
考察の余地はあるものの、国産でSFスプラッタという難しいジャンルに果敢に挑んだ前作に比べエンタメに振り切った感じが否めない今作。
ネクロボーグというアイデアを借りただけで、言葉は少し乱暴かもしれませんがほとんど同人作品と言ってしまってもいいかもしれません。
それもこれも前作のカリスマ性が強すぎることが要因、2が少し物足りなくなるのは漫画もゲームにもよくあることですよね。
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